「決算書を提出したのに、なぜか融資が思うように通らない」——そんなご相談をよくいただきます。銀行の担当者は、決算書のすべてのページを最初から丁寧に読み込んでいるわけではありません。実務では、まず数字のいくつかのポイントに目を走らせ、会社の全体像をつかむものです。今回は、その中でも特に見られやすい3つの数字をご紹介します。
① 自己資本(純資産)はプラスか
最初に確認されやすいのが、貸借対照表の純資産(自己資本)です。ここがマイナス、いわゆる「債務超過」になっていると、返済力への懸念が一気に強まります。逆に、利益を積み上げて自己資本が厚くなっている会社は、それだけで安心感を与えます。
社長からの貸付金(役員借入金)は、金融機関の見方によっては実質的に自己資本とみなされることがあります。債務超過ぎみでも、内訳次第で評価が変わる余地はあります。
② 債務償還年数は何年か
次に見られやすいのが債務償還年数です。ざっくり言えば「今の利益ペースで、借入をあと何年で返し切れるか」を示す指標で、一般に「借入金 ÷(税引後利益+減価償却費)」で計算します。
目安として10年以内だと健全と受け止められやすく、長くなるほど「返済力に対して借入が重い」と見られる傾向があります。数字が長めでも、改善の見通しをきちんと説明できるかどうかで印象は変わります。
③ 営業利益は黒字か
3つ目は営業利益です。本業でどれだけ稼げているかを示す数字で、ここが黒字であることは「事業そのものに収益力がある」ことの何よりの証拠になります。
一時的な特別利益で当期利益を黒字にしていても、営業利益が赤字だと本業の弱さを見抜かれます。銀行が知りたいのは、継続して返済原資を生み出せる力があるかだからです。
数字は「見せ方」も大切です
同じ決算書でも、内訳や背景をひと言添えるだけで受け取られ方は変わります。
- 赤字の原因が一時的なもの(大型投資・特殊要因)なら、その旨を説明する
- 役員借入金があるなら、実質自己資本としての見方を伝える
- 今後の改善計画(売上・利益の見通し)をセットで示す